偶然、赤信号で止まっていた3台先にタクシーがいた。なんと信号の間に運転手さんはバスを飛び降り、タクシーの運転手さんに話をつけ、「あれに乗って行きなさい,でないと間に合わん!」なんという機転だろう。あわててお礼を言い、バス代1060円を渡し、タクシーに飛び乗った。
「JRは何時?」「4:30です」「ええー!?もう5分しかないやか!」とあせるタクシーの運転手さん。
「そりゃあ無理やわ、お金はいらんからもうバスにしたら?」「いや、遅れても構いません。せっかくのバスの運転手さんのご厚意ですので、駅までお願いします。」
やっと長い赤信号が青になった。時間は後5分を切っていた。
「奥さん、裏道通るけど、たぶんもう間に合わんよ」
「はい、いいです。無理をお願いしてすみませんねえ」
「後3分…、もう無理やわ。メーター倒してないけんね、どうせ帰り道やけん、駅まで連れてっちゃおけど。」
なんて親切な運転手さんだろう。かつてここに住んでもいたが、正直な話、中村でこんな運転手さんに出会えたのは初めてだ。
「あー、もう時間や。せめて後5分あれば…」嘆きつつ飛ばして駅前に出た。
「ちょっと待って、(列車)おるかもしれん!」「本当ですか!?」
「あ、お金はええけん!」まさか!そんなことをすると女がすたる!!私は千円札を放り出すとスーツケースをひっつかみ、ダッシュした。
「高知行きの特急出ましたか!?」「まだです。2番乗り場です」
こんな時に限って陸橋を渡らなきゃいけないとは!ヨタった足で全力疾走する。
…やった!間に合った!!乗り込めば、こっちのものだ。座席に倒れるように座りこんだ。
ラッキーなことに、特急は4:34発だったのだ。この4分に救われた。
ほっとして、あの二人の運転手さんの優しさを思い出した。なんてありがたいんだろう!なんだか、じんわり涙が出てきた。泣けてくるほどの親切にふれられたのは久しぶりだった。真の顧客感動とはを、教えていただいた気がした。
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