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第245回●2007年8月6日(月)

    「ボスとリーダーの違い」

 
 参議院議員選挙は、自民党の惨敗に終わり、内閣支持率も20%台に急落。これはどう見ても安倍首相に責任があるだろう、という世論は私もその通りだと思います。

 私は以前から安倍さんのリーダーシップに対して、大きな疑問を感じています。どうも彼はボスになりたがっている、あるいはボスになったと勘違いしているように思えるのです。

 安倍さんは「厳しい状況だが、私の国づくりはスタートしたばかり」などと言っていましたが、「私の国」って何?あなたは独裁国の大統領ですか?「私たちの国」をどうするべきかを論じるのが筋ではないでしょうか。国民はリーダーを欲しているのであり、決してボスを欲しているのではないと思います。

 この「ボスとリーダーの違い」について、以前読んだ文章にノックアウトされたことがあります。「まさにこれこそ、リーダーシップ論だ」というもので、イギリスの百貨店王と言われた、H・ゴードン・セルフリッジの言葉です。

 ボスは部下を駆り立てるが、リーダーは部下を指導する。
 
 ボスは権威を切望するが、リーダーは好意を期待する。
 
 ボスは恐怖をかきたてるが、リーダーは情熱を生み出す。

 ボスは『私』と言うが、リーダーは『私たち』と言う。

 ボスは時間通りに来いという、リーダーはみずから時間前にやってくる。

 ボスは失敗の責任を追及するが、リーダーは失敗の後始末をする。

 ボスはやり方を知っているが、リーダーはやり方を教える。

 ボスは仕事を苦役に変えるが、リーダーはそれをゲームに変える。

 ボスは『やれ』と命じるが、リーダーは『さあやろう』と言う。



 うーん。 まさに言い得て妙、です!ボスは支配しようとするが、リーダーは背中を見せての指導をする、ということでしょうね。こういうリーダーに導かれる部下は、なんと幸せでしょうか。要するに、リーダーになるには、高いヒューマンスキル(人間力)が必要とされるわけですね。権力をつかむとそれだけでボスにはなれるけれど、リーダーになるにはそれプラス、セルフ・マネジメントが必要になる。部下はそれを黙って見ているわけです。

 この通りのリーダーになるのは相当難しいでしょうが、リーダーをめざす、あるいはボスを脱却するだけでも大きく違ってくるのではないでしょうか。

 ボスは強行採決をするが、リーダーは話し合いの努力を捨てない。
 ボスは部下に責任を押しつけて辞任させるが、リーダーは自ら責任を取る。
 ボスは国民にツケを回すが、リーダーは・・・。

 さて、リーダーなら、どうするのでしょうか?
ぜひ、安倍首相にもこのゴードン・セルフリッジの言葉をお読みいただきたいものです。

 


 
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