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第250回●2007年9月9日(日)

    「私は間違っている・・・?」

 
 先日、ネッツトヨタ南国の横田社長と少しお話させていただく機会がありました。(おっといけない、横田さんは今年、社長から会長になられたのでした。)
 その時に伺ったお話が素晴らしかったので、ぜひ皆さんにもお裾分けしたいと思います。

 「最近、『私は間違っている』と思うんですよ」とおっしゃった横田会長の言葉に、私は大変驚きました。横田会長と言えば、ネッツトヨタ南国を『日本経営品質賞』を受賞した、全国トップレベルの企業に育て上げた方です。その方が「私は間違っている」とは・・・?

 横田会長は、私の疑問にこうおっしゃったのです。
「自分が間違っている、と思うと、他人の意見を素直によく聴き、そして謙虚にいられるでしょう」
「でも、横田さんが間違っているとは、とうてい思えませんが」
「いやいや。 人間はその時には『これが正しい』と思っていても、半年、1年、10年たってふり返ってみたら、『あの時、こうしたらもっと良かったのに』という、より良い答えが見つかることがあるでしょう?」

 これは、ちょっとした衝撃でした。私は今まで常に「自分は正しい」と思い込んできたことに気がついたのです。そして同時に「正しいことをしているから、正義はこちらにある」と思いがちでした。

「人間は、素直で謙虚でいることが大切だと思うんですよ。だからそのためには『私は間違っている』と思うことが、ちょうどいいんじゃないでしょうか」
…私は、とても大切な示唆を頂いたことに、ありがたい気持ちで一杯になりました。

  その後、研修でこのお話を数回させていただきました。医療、福祉、サービス業。受講生のみなさんがたくさんこの話を聴いて、「私は間違っている、という話は本当にそうだと思いました」とレポートに書いてくださいました。特に医療などでは「これが正しい」と思いこみがちですが、そうすると一方的になり、双方向コミュニケーションが取れなくなってしまう恐れがあります。

 悪いコミュニケーションの取り方に「○○だろうコミュニケーション」というものがあります。「多分、順調だろう」「誰かに頼んだんだろう」などと、確認も行わずに自分に都合のいい方に思い込んでしまう。それによって、問題が起きてしまいます。
 
 良いコミュニケーションは、「○○かもしれないコミュニケーション」です。「用意してないかもしれない」「何か問題を抱えてるかもしれない」と悪い事態を想定して、それを防ぐために自らアクションを起こすものです。

  この良い例が、車の運転ですよね。「多分、飛び出しはないだろう」と思うと、細い道でもスピードを出してしまう。そうではなく「飛び出しがあるかもしれない」と思うと、適性なスピードで慎重に運転する。これらは実は先日、ビジネスコミュニケーション研修で行った内容の一部です。

 こういう学びを頂けると、本当に嬉しいです。まして私はこういう場でみなさんとそれを分け合えるので、嬉しさが2倍になる、と言ったら言い過ぎでしょうか。以来時々、「私は間違っている(かもしれない)」とつぶやいています。
 きっと夫に聞こえたら大声で「その通りっ!」と言われる、かもしれません。(笑)

 

 
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