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第269回●2008年1月20日(日)

 「ワクワクするような日本酒の愉しさを〜司牡丹」

 先日、高知工科大学大学院起業家コースの「地域産業振興論」のインタビューに行って来ました。今回の訪問先は、佐川町にある酒造会社「司牡丹酒造」です。

 司牡丹は、創業400年あまりという老舗(しにせ)です。関ヶ原の合戦の殊勲により、山内一豊の家老深尾氏が佐川領1万石を賜り、その時に従ってきた酒屋が司牡丹の前身です。

 

 その後、大正7年に佐川町の酒造家が結集して株式会社を設立。
佐川町出身の田中伯爵は佐川の酒をこよなく愛し、「司牡丹」と命名しました。
「牡丹は百花の王、さらに牡丹の司であれ」という意味だそうです。

 歴史を感じさせる看板の下につるされているのは、酒林(さかばやし)と言います。
酒屋の看板として、杉の葉を球形に束ねて軒先につるしたものですが、杉の葉は2トントラックで運ぶほど必要だそうです。最初は青々としていますが、次第に茶色に変わってきます。

 日本酒は一般的に、「精米」→「米洗い」→「米蒸し」→「麹(こうじ)造り」→「もと造り」→「仕込み」→「搾(しぼ)り」→「火入れ」→「瓶詰め」という行程を経て作られます。

精米では、米の外側のタンパク質などを削り、デンプンだけの白米にします。大吟醸などは中心部の35%にまで磨くことがあるそうですが、司牡丹ではその上の30%にまで磨くそうです。使うお米は年間2万俵(!)。

 洗米作業も10年ほど前までは手作業で、杜氏がストップウォッチを持って秒単位で行っていました。しかし今では機械化して、最高のレベルで安定して行えるようにと工夫されています。

 酒造りに適した米の最高峰「山田錦」は、大変作りづらく収穫量も少なく、価格も高価であるため、一般的には吟醸酒などの最高ランクの酒造りのみに使用されています。司牡丹の「山田錦」使用量は、使用原料米総量の実に15%以上に達しているとか。

 米は蒸された後広げて冷まし、そこに種麹を混ぜ、麹菌を繁殖させます。昔はむしろに広げてやっていたそうですが、今では温度管理などがしやすいこういった部屋で行っています。

 

 司牡丹は戦中・戦後の米不足の時にさえ、作る量を10分の1に減らしても品質は落とさなかった「品質至上主義」を貫いています。現在、全国酒造メーカーの「特定名称酒(吟醸酒・純米酒・本醸造酒などの高付加価値酒)」比率は平均30%程度ですが、司牡丹の「特定名称酒」比率は70%を超えているそうです。
  この15年で日本酒の蔵元は3000から1500社に半減し、日本酒離れによる危機が叫ばれています。現在は日本食ブームで、アメリカ・中国・台湾などに日本酒の輸出は 増えているそうですが、まだ全体の1%足らずと、厳しい事に変わりはありません。
 そんな中、
竹村社長は「旬の和食と旬の日本酒が人生を健康で楽しく豊かにする」ことを少しでも情報発信しようと、「旬どき・うまいもの自慢会」と「口は幸せのもと!」 の2つのブログを土佐弁で書かれています。
 平成13年には、司牡丹はミッション(使命)を制定しました。

「土佐」「本物」「エコロジー」にこだわった美味しい日本酒を製造販売し、
人々にワクワクするような日本酒の愉しさを伝道する。
その結果、個人には元気と健康と幸せを、
社会には潤滑で円満な人間関係をもたらし、世の中に進歩と調和をもたらす。
 その「ワクワクするような日本酒の愉しさ」を実現した一つ。高知県内有志が立ち上げた「高知県宇宙利用推進研究会」による「土佐宇宙酒」の発売です。
 2005年、ロシアのソユーズロケットで宇宙を旅した高知県産の日本酒酵母でかもされた、世界初の宇宙酒です。これは全国で大変な話題となり、初年度司牡丹では、2万3千本が発売解禁後わずか4ヶ月で完売となりました。

 そうそう、高知県出身の直木賞作家・山本一力さんは、司牡丹を題材に時代小説「牡丹酒」を書きました。また、あの松任谷由実さんは「好きなお酒は何ですか?」という質問に対し、「司牡丹というお酒が好きです」と雑誌で答えたそうです。

 

 この「深尾」はたまたま頂き物ですが、12月に入ってから特別限定販売される、司牡丹の最高ランクの純米大吟醸原酒です。元々自家用のお酒だったそうで、8ヶ月以上熟成させた超希少品だそうです。720mlで6千円というお値段ですが、「格調高く華やかな香りで、まろやかだが深く膨らみのある味わいは絶品!」だとか。
 私は残念ながらアレルギーでお酒はダメなのですが、誠実な司牡丹さんの姿勢を拝見して、心から応援したいなと感じたのでした。

 
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