大学経営は少子化による学生数の減少で、地方の、特に私立大学にとっては厳しい局面が続いています。
大学は地域によって二極化の傾向があります。入学定員充足率が高いのは、南関東、近畿地区で、中国、四国、九州は厳しい状況にあります。平成18年度に
南関東では15.9%の学部が定員割れしているのに対し、中国、四国、九州地区は、50.6%と半数以上の学部が定員割れとなっています。高知工科大も、定員を満たすため、努力しています。
なんとかこれを打開したいと、今月 新学長に就任なさった佐久間学長が、「公立大学化」プロジェクトを進めているわけです。昨年12月には文部科学省から「学校法人から公立大学法人への移行は可能」との判断が示され、今後、高知県が県議会の議決を経て国に申請すれば、公立大法人の認可が下りる見込みだそうです。早ければ来年4月にも県立大学化できるようです。
で、財政的にはどうなるの?高知県政策企画部 私学・大学支援課によると、公立大学法人化すれば、国から工科大が受けている助成金の倍に相当する交付税措置が受けられるそうなのです。その結果、現在、年間約124万円の授業料が、半額以下で、高知女子大と同額程度の約53万円に抑えられるということです。これは熾烈な大学間競争に勝ち抜くため、非常に有効な手立てだと言えるでしょう。学生の公立志向にもマッチし、厳しい地方(高知県)の経済状況から多くの学費を捻出しなければならない保護者も、本当に助かる事かと思います。
反面、諸刃の剣で、今後は県の意向が強くなり、大学の自由度は下がるでしょう。「将来的には同一法人として、県立高知女子大と工科大を1法人で運営していくことは一つの選択肢」と尾崎知事は昨年の12月県議会でおっしゃったそうです。
また、交付税頼みというのは今後を考えると決して楽観はできません。しかし、そういった壁を乗り越えてでも、チャレンジしていく姿勢が今は重要だと思います。
もう1つの工科大の新たな取り組みが、今年度から開設される文系の「マネジメント学部」です。
なぜ「経営」ではなく「マネジメント」なのか?「それは既存の経営系学部より、遙かに広くて深い領域を包括し融合させたものだから。」「核はなんと言ってもマネジメントで、人が集まって何かの目標を達成しようとすると、必ずマネジメントが必要になる。つまり、本物のマネジメント力を持った人材は、社会のどんな場所であっても必要とされ、力を発揮できる。」(工科大ホームページより)
実は高知工科大は工学の専科大学ということから、当初は文系学部開設は難航していたのが、大学院起業家コース等のマネジメントに関する教育・研究の実績によって、許可されたと聞きました。起業家コース卒業生としては、嬉しい限りです。
マネジメント学部マネジメント学科の入学定員は100人。
こちらは順調に志望者が集まっているようです。工学部とマネジメント学部で専門科目を相互に履修できる制度も導入するそうで、コミュニケーションや交渉、統計解析、会計、簿記、マーケティングなどの能力や実践的に経営企画ができる能力を身につけさせるようなカリキュラムを組むようです。