イタリア語なんて独学でしか勉強していないのに、向こうで通用するレベルとはとうてい思えず、安全面でも非常に不安。今後の就職にだって役立ちそうもないし。まあそもそも、私自身が旅行が好きじゃなく、まして海外なんて!という我が家は「ほぼ鎖国状態」?だったのですが。(笑)
でも次女は「今しかできない。」「私は大学も、県外に行けなかった。もっと広い世界を見たい。」「これは私の人生でしょ」と、この春休みに留学する計画を着々と進めていました。気づいた時には留学の手付け金も支払っており、この段階でどうしても避けられないと悟りました。考えてみれば何が起きるかわからない世の中で、事故に遭う時は地元にいてもそうなるわけです。…仕方がない。渋々、承諾せざるを得ませんでした。
ではどうしたら安全に・安心して行かせられるか?が次の命題となりました。そこで、イタリアに以前住んでいらっしゃったOさんという知人に
親子で話を聴きに行きました。彼女がまた底抜けにいい方で、「イタリアでもローマとかフィレンツェとか、観光都市にはジプシーも多いけど、北イタリアならわりと安心」「でも、ホームステイは問題が多く、お奨めしない」「冬の時期だから、かなり寒いよ」とたくさんの情報を教えてくれ、しかもジェノバに住んでいらっしゃるご兄弟に、あちらでの案内やお世話を頼んでくださったのです。結局
斡旋会社のプランはキャンセルしましたが、宿の手配やバッグの貸し出しにいたるまで細やかにご配慮くださり、つくづく人のありがたさが身に沁みました。
イタリアに関する情報を集める中、今ではインターネットでジェノバの天気予報まで見られると知りました。またスカイプを使えば、無料で毎日インターネット電話もできます。携帯電話も、落としたことをきっかけにイタリアで使える機種に変更しました。昔とは比べものにならない便利さです。
それでも、私はまだどこかで遠く見知らぬ外国に娘を旅立たせる不安に縛られていました。ところが、今やこれを見ないと高知県人ではない(笑)という
NHKの「龍馬伝」で、龍馬の父八平(児玉清)が言った台詞が心に響きました。
「生まれてきたからには、おのれの命を使い切らんといかん。」
(使い切らないといけない)
命を使い切る―。なんと生きる上で的確な、そして重要な言葉でしょうか。
まさか龍馬伝が、娘の留学への勧めになるとは夢にも思いませんでしたが。(笑)
そして、気づきました。次女は今、彼女の命を精一杯使おう、活かそうとしているのだと。心配だからと、それを止めては子どもの成長の妨げになってしまう。私自身がもっと大きな器にならなければいけないのだと。親としての成長とは、情との間で本当に難しいものですね。
こうして昨日、次女は元気に高知龍馬空港を飛び立って行きました。途中、東京の彼女と電話でやりとりした時、声が弾んでいるのに「ああ、こんなにも楽しいんだな」と思い、少し気が楽になりました。わずか1か月の短期留学ですが、異文化の中で何をどれだけ身につけられるのでしょうか?帰って来たらここのコーナーで、少しその成果を披露してもらおうと思っています。(タダでは行かさんぞ!)
ま、本音は母親としてはとにかく無事で帰って来てくれさえすればいいのですがね。(笑)
|