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第389回●2010年5月23日(日)

 「年代によるコミュニケーションの違い

 昨年も書いたのですが(第342回)、今年も、高知大学で教員資格を得るための介護等体験事前指導が終わりました。特別支援学校や福祉施設などで1週間ほどの実習に出る前に、福祉の基礎的な知識などを事前に学んでおくものです。ちなみに私は、マナーとコミュニケーションが担当でした。

 

 今年から試験を行うので試験問題を作成しなければならなかったのですが、マナーやコミュニケーションは試験問題にはしにくいため、受講態度で評価することにしました。

 まず遅刻者は入室禁止にし、チャイムと同時にドアを閉めました。内心、「大丈夫かな〜?」と心配していたのですが、事前通達をしていたこともあり3クラス250名で遅刻者が2名と、なかなか優秀でした。2分遅刻してきた学生は(心が痛んだのですが)、入れませんでした。これだけでも教室の緊張感は昨年までと違いました。

 もう一つ、寝ている学生は退室です、ということを最初に話しました。後半はロールプレイが入るので寝ていられませんが、前半は午後の講義なのでどうしても気が緩みます。たとえ「寝ていませんでした」と主張しても、社会に出ればそう見えることで評価が決まるのだから、と学生の論理と社会の論理の違いを話すと納得してくれたようでした。

 実際、ウトウトしていた学生には「寝るなら外に出なさい。」と言いましたが、それ以降その学生は真面目に受講してくれました。まあ、こっちが目的ですからね。でも退室まではいきませんでしたが、寝ていて減点された学生は残念ながら何人かいます。マナーの講義ですから、これは仕方ないでしょう。

 講義の終盤では、コミュニケーションの演習を行います。話したことのない異性とペアを組み、自己紹介やコミュニケーション技法を演習するのです。知らない人と話せないことが多いこの世代に、積極的になってもらうためのメニューです。演習が始まる前はみんな腰が引けていますが、いざ始まるとかなりな盛り上がりを見せてくれ、頼もしく感じました。

 傾聴の技法に「オウム返し法」というものがあります。高齢者や話の聞き取りにくい人などに特に有効な手法ですが、相手の言葉をくり返すやり方です。

「昨日、とても辛いことがあってねえ…」
「そう、辛いことがあったの」
というように 相手の言葉を繰り返すことで自分の確認にもなるし、相手にも「分かってくれてるな」という印象を与えられるものです。これ、高齢者の福祉施設などで研修メニューに入れると、「そうそう〜!」と盛り上がるものなんですね。

 「お年寄りの人と、何を話したらよいかわからない」という学生の感想が以前あったので「こういう方法もありますよ」と取り入れた演習なのですが…、これが大学生にはすこぶる評判が悪いのです。
「ちゃんと聞いてくれてない感じ」「イラッとする」など…
 もちろん、中には「聞き取りやすかった」などと評価してくれる学生もいますが、「評価する」:「評価しない」は1:4くらいの感じです。

 そういえば「去年もこれ、同じようなレスポンスだったな〜」と思い出します。同じ技法なのですが、いったいなぜ年代によって、こんなに感じ方が違うのでしょうか?

 考えられるのは、コミュニケーションの違いです。若い世代の会話はスピードも展開も早いものを好みます。
A→A’→B→B’
というようなまだるっこしい会話ではなく、
A→B→C→時にはDを飛ばしてE というような「話をふくらませる」会話に慣れているのでしょう。

 対して高齢者のコミュニケーションの目的は、「共感してもらい、安心したい」「繋がっていることを確認したい」というのが多いのかなと思います。だからオウム返しが有効なんですね。

 もちろんどちらが良い、悪いではないのですが、そういった年代の感じ方の違いというものを認識しておかないといけないのだなと、改めて考えさせられました。例えば上司が部下の話を聞く時にも、こういったことは大切になるでしょう。その年代のニーズや感性に合った話し方がいいのだなぁと、改めて感じた経験でした。

 

 
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