HOMEへ戻る 研究所案内研修プログラム実 績セミナー情報お問合せ
|WEEKLY “N”|T医師のひとりごとすずかの気ままにDO!
ウィークリーN
 

第403回●2010年8月29日(日)

ドキュメンタリー家族記念日」

 昨日、たまたまつけていた教育テレビで「ザ・ベストTVシンポジウム」というのを放送していました。「ザ・ベストテレビ」とは、NHK・民間放送合わせた全国の放送局から厳選されたドキュメンタリーなどを、NHKで放送する番組らしいです。
様々な賞を受賞した 3つの番組の制作者が集り、シンポジウムを開いていました。
 

 その中で「これは面白い!」と思ったものを紹介させて頂きますね。 「家族記念日」という、 中部日本放送が制作し、 民間放送連盟賞テレビエンターテインメント番組 最優秀賞を受賞したものです。プロデューサーは藤井稔さんという方です。

 若きプロカメラマン、浅田政志さん。写真界の芥川賞とも呼ばれる木村伊兵衛写真賞を受賞しています。彼の出版した「浅田家」という写真集は、彼の実の家族4人(父、母、兄、彼)をセルフタイマーで写したものです。しかし、その内容は相当変わっています。家族みんなで、真面目にコスプレをして写真撮影しているのです。
(コスプレとはコスチュームプレイ、和製英語です。仮装というか、今ではアニメなどの登場人物の衣装・ヘアスタイルなどをそっくりまねて変装・変身することを言うことが多いです。)

 家族でコスプレ!?と驚くでしょうが、またその内容がスゴイ。「消防士」「極道」「酔って飲み屋街でヘロヘロ」「戦隊モノヒーローの内幕」「ライブハウスでライブ!」…などなど背景を含め、細部にわたって本格的にそのテーマに取り組み、ドラマの1シーンを思わすような写真なのです。どれも見たら吹き出してしまうような写真なのですが、家族が一部屋でそれぞれごろ寝しているだけの写真もあったりして、なんとなく「家族って、いいな〜」と思わせるような力を持っています。

 というと、このドキュメンタリー番組は浅田さんを取り上げた番組かと思われるでしょう。実はプロデューサーも最初、そのつもりだったようです。しかし、浅田さんが行っているもう一つの活動、「他人の家族写真を撮る」ことに日本全国から「浅田家のようにコスプレ写真を撮ってほしい」という依頼が届くことを知ります。

 「家族でコスプレ写真を依頼してくるって、幸せな家族ばかりなんだろう」と思っていたら、その応募理由を知って驚きます。母一人子一人で一杯一杯だったため、小学生の息子にゆとりを持って接してやれない後悔を持っている母親。認知症が始まった老父を、元気なうちに家族みんなで囲んで幸せな写真を撮りたいと願う大家族など。その裏側を知った時、藤井プロデューサーは「撮るべきは浅田さんじゃない!こっちだ!」と思ったそうです。虚像の向こうに日本の家族像を映し出すというその慧眼には、感服します。

 浅田さんは母子と、どんな写真を撮るのかという話し合いから始めます。母親は息子がくれた感謝の手紙が嬉しかったことを話し、息子が作った黄色いポストを見せます。そこから母親は郵便配達人に扮することを決め、息子と二人で、浜辺にその黄色いポストを立てます。その前で写真を撮るうちに、お互いに「ありがとう」と涙ぐんで語り合います。とても感動的なシーンで、ジンと来ました。それをNHKのスタジオで見ていた脚本家の中園ミホさんは「私もシングルマザーで子どもと二人暮らしだけど、写真を撮ってもらいたい」と思わずおっしゃっていたほどでした。

 コスプレという非日常の中に身を置くからこそ、恥ずかしくて日頃は口に出せない思いも素直に表現できるのでしょう。いいなあ、と思い浅田さんのホームページに行ってみたら、いまや家族写真の依頼は450件を超え、今申し込んでも順番が回ってくるのは10年以上先になるそうです。こりゃあすごいビジネスモデルだ、と思ったらなんとこれ、作品化を承諾したら無料なんですよ。大変失礼しました。すごいです、浅田さん。

 もし、私がこういう家族写真を撮るとしたら、どういうシチュエーションがいいかなあ、と考えてみました。うちの場合はやはり、長女・涼歌が中心なのがピッタリ来るかも。でもって、決して実現できそうにないパターン。たとえば…涼歌の結婚式、とか。(笑)でも実際、どこかに頼んでそういう写真を撮ることは可能なんですよね〜。ちょっとやってみたいなあ。

 浅田さんはあちこちで写真展を開かれています。こんな面白い写真展なら、見に行ってみたいなあ。高知でもやってくれないかなあ、と秘かに願っています。

 

 

 
ご意見・ご感想お寄せください!
 
 
ページの先頭に戻る
人材育成研修・各種セミナー承ります。
Copyright(c)2002 人・みらい研究所 All rights reserverd.