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第410回●2010年10月17日(日)

「障害者の就職マッチング

 先日ある大手企業に、就職内定者のビジネスマナー研修でお伺いした時のことです。担当の課長が「筒井先生は、スタッフの方(中村)とどのように出会われたのですか?」とお聞きになりました。

 はて?なぜ?と思いつつ、「実は障害者のための表現力講座という研修で出会ったんですよ」と申しますと、「そうですか。うちの企業も障害者の雇用をしたいんですが、なかなか合う人がいなくて…」とおっしゃったのです。驚きました。

 世間は今、就職難と言われて求職者は大変です。まして、ハンディがあればそのハードルは非常に高くなります。
のどから手が出るような良いお話なのに、なぜでしょうか?

  「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、事業主に対し、法定雇用率(1.8%)以上の身体障害者又は知的障害者の雇用を義務付けています。企業は障害者の雇用促進を図らねばならないのです。私が伺った労務担当課長のお話では電話応対の業務ができる20〜30代の正社員を募集しているのだけれど、半年以上もたったのに未だに決まらなくて苦労しているとのこと。

 電話応対業務は細やかな気配りやマナー、組織の把握や臨機応変な対応力などが要求されます。障害者でも、そういった能力がないと勤まりません。実際募集をかけ面接したのですが、うまくマッチングできなかったとのこと。
「学校にはいらっしゃいました?」
「教育委員会に問い合わせて学校を紹介してもらい、○○高に行ったんですよ。しかし、面接をしてみると生徒が泣いてしまいまして…」
わかるわかる。今の高校生って、結構打たれ弱かったりするもんなぁ。でもそれじゃあ、ビジネスとしては使いものになりません。

 しかし、聞いているだけで心から嬉しくなってしまうお話です。この採用がうまくいけば、本人やご家族や先生など、どれだけの人が喜ぶことでしょう!是非、お手伝いさせて頂きたいと思いました。

 帰ってから早速、養護学校の先生に電話をしました。幸い、長女が高等部に在籍していたときの担任の先生がまだいらっしゃり、お話しすると喜んで進路担当の先生に申し伝えるとのこと。残念ながら今の高3生にはそういった仕事ができる該当者がいないらしいのですが、既卒者でも構わないし今後継続して雇用を考えているというお話だったので、その旨を伝えて企業から連絡してもらうことにしました。

 そしてもう1カ所、ある障害者センターの職員さんにもお話を伝えました。ここが主催する講座のおかげで、私は中村と知り合えたのです。能力はありながら就職先に恵まれずに働けない方々を現場レベルでよくご存じです。残念ながら知り合いの職員さんはいませんでしたが、お話の内容をお伝えするとやはり喜んでくださり、企業から連絡してもらうことにしました。

 そういった経緯を課長にお伝えすると、「いやぁ4月からずっと苦労してたんですよ。もっと早く筒井先生にお伺いすれば良かった」と喜んで頂けました。その企業の英断と課長にお声がけ頂けたお陰さまで、私もとっても幸せな気分にして頂けました。どうか、マッチングがうまく行きますように。

 障害者の場合、社会体験の少なさからマナーを身につける機会が少なく、就職面接の場に平気でジャージで出かけてひんしゅくを買ってしまう例なども聞いています。養護学校の卒業生や障害者対象のマナー講座・インターンシップをするといったことも、社会的に必要かもしれないなあと思いました。

 今から4年前、中村が社会人インターンシップに来てくれたときのことを思い出します。彼も良いものを持ちながら社会的体験が少なかったので、ぜひ社会を広く知って欲しいとの思いでインターンシップに誘いました。最初は初めての体験づくしで心身ともにグッタリしていたのですが、今では彼も一人前の講師として、本当に成長してくれました。

 土佐リハビリテーションカレッジでの松葉杖体験講義 (WEEKLY N 312回)など、彼ならではの体験を活かした講義での活躍を見ていると、人は人によって社会で磨かれるのだなぁとつくづく感じます。

 そういった機会を少しでも作っていくことが、私にもできるささやかな社会貢献なのかもしれないと感じた、秋の日でした。

 

 
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