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第425回●2011年2月6日(日)

「就職内定率データから見える厳しさ」

 文部科学省と厚生労働省がまとめた「23年3月大学等卒業予定者の就職内定状況」は昨年12月1日時点で、大学生68.8%と、昨年に比べて4.3ポイント下回ったそうです。調査が始まった1996年以降で過去最低となり、「就職氷河期」の2000年よりも低いということで「超就職氷河期」とも言われるようになりました。

 そんな中で、高知県労働局発表の大学4年生の内定率は衝撃的でした。なんと48.0%!全国平均よりも20ポイントも下回っていたのです。2人に1人は内定がないという、本当に厳しい状況です。

 しかし…県別の内定率データを見ていると、どうも怪訝に思えました。

 各県の労働局発表の内定率が、国が発表したデータに比べて低すぎるように思えたのです。 意外なことに中・四国で一番内定率が高いのは鳥取でしたが、それでも64.6%です。最初の厚労省と文科省が出した、中国・四国地区の平均内定率は、64.7%。ところが県別の労働局のデータでは、平均を上回っている県はどこもないというおかしな結果になっています。

下の労働局データによる内定率表をご覧ください。
(データは11月末〜12月のものを使用しています)

 
鳥取
島根
岡山
広島
山口
徳島
香川
愛媛
高知
   
 
64.6
61.3
50.9
58.1
65.0
48.6
58.0
62.1
48.0
   


  各県の労働局のデータから中国・四国地区の平均値を出すと、57.4%です。国のデータは64.7%ですから、7.3ポイントもかけ離れてしまっています。(とは言っても、高知が最下位であることは変わりないのですが…。)

 それにしてもなぜ、国と県とでこんなにも数値が違っているのでしょうか?国が行う調査は国立大学21校、公立大学3校、私立大学38校、計62校の大学を対象に行われています。つまり対象が少なすぎるのでしょう。対象の大学選びに偏りがあるという声も聞かれます。一方、労働局は県内の大学の報告をまとめているので、労働局のデータの方が現実に即していると思います。
 
 ちなみに埼玉46.1%、千葉49% と高知なみに低い県もあります。これは私立大学が多いからとも言われています。逆に内定率が高い県は福井87.9%、富山86.9%、三重85.0%、石川84.8%、岐阜82.9%など。やはり、有力企業が多いからでしょうか?高知の学生からすれば、うらやましい限りでしょう。

 そういった厳しいニュースを反映してか、私が12月に見学した大学主催の会社説明会では、学生は例年以上に熱心な様子で企業担当者と向き合っていました。大学の学生課の担当者も「今までは1時間も過ぎると学生が少なくなっていたけど、今年は2時間半の時間いっぱい、色んな企業を回って説明を聴いている」と感心していました。熱意にあふれた学生を見ていると、それぞれに合った企業とご縁があって欲しいものだと応援したくなりました。


 ところで、2月3日放送のNHK「クローズアップ現代」は、気になる内容でした。「ひきこもり」の長期化・高年齢化は止まらず、今や全国に70万人いると言われているそうですが、その過半数は30代で、しかも就労経験や就職試験をきっかけにひきこもった人たちだというのです。

 不登校がきっかけでひきこもりになる、というのが世間一般の認識だと思います。だから、私もこれには驚きました。就職試験に合格できずに挫折したり、早期離職後に再就職できなかったりといったことをきっかけにひきこもり、社会に復帰できないというのです。就職氷河期だと、こういう若者はますます増えるのではないでしょうか。

 近年、親の年金をあてにして暮らしている人も少なくないようです。親が入院し、熱心に病院に通ってくる息子に、最初は「親孝行で、感心な息子さんだな」と思っていたら実はそうではなく、息子は働かずに親の年金をあてにしているので親に死なれたら困る、というケースが珍しくないそうです。

 なんだか暗い話ばかりですが…、気を取り直して最後に「古本売ってタイガー運動」という今朝の朝日新聞の記事について。自宅や職場に眠る本が寄付金になる新しい仕組みが広がっているそうです。

 ネット販売の「バリューブックス」が、古本5冊以上なら宅配会社が取りに来て送料無料になり、買い取り価格は送り主が指定した団体に寄付金として振り込まれる、という仕組みを作ったのです。 自閉症の子の支援、養護施設の子供が巣立つ支援に混じって、若者の就労支援もあります。

すでに6万6千冊が届き、寄付総額は188万円にのぼったそうです。
まだまだ日本も、捨てたものではありませんね。

 

 

 
 
 
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