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第461回●2011年10月12日(水)

「拾得物とモラル」

 

(中村 覚)
 以前、あるコンビニエンスストアに寄ってトイレを借りた時のことです。棚に予備のトイレットペーパーが2つ置いてあり、なんとその上にピーンと伸ばされた1000円札が2枚置いてありました。
「忘れ物?」と思いましたが、普通なら財布ごと忘れていくんじゃないかなと・・・。


 状況が不自然だったので「ここでお前ならどうする?」と何かに試されているような気になってしまい、「どこかに監視カメラでも有るのか?」
もちろん有るわけもなく。

 〜ということで、お金を持ってレジに行き、「トイレにありました」と店員さんに渡しました。店員さんもちょっと驚いた様子でしたが、すぐに「何時何分頃、トイレで、2000円〜」とノートにメモを取っていました。

 場面は変わり、数ヶ月前の自動車学校での出来事です。最後の試験に合格し、爽やか気分で「さよなら自動車学校!」という最終日の帰り際。受付の方に「お世話になりました」とお礼を言って、いつものようにバイク置き場に行くと、バイクと隣の自転車の間にきれいな1万円札が、三つ折で落ちていました。とっさに考えたのは「あれ? 天からの合格祝い?」 ウソです(笑)。

 生徒の誰かが試験料として、定期入れや免許証の間に挟んで持ってきていたのでしょう。再び受付に戻り、事情を説明してお金を渡しました。
 (でも、今更ながら)実はこれらのお金がちゃんと持ち主に戻ったかどうかはわかりません。こういった裸銭で落としてしまうと、落とし主も「手元に戻ってくるのはもう無理か・・・」という気持ちになってしまうんじゃないかと思います。

 しかしそんな中、8月に流れたニュースによると「東日本大震災により紛失していた23億円が返還された」そうです。23億円というのは被災地で拾得物として警察に届けられた財布や、約5700個の金庫に入っていた現金です。警察では中に一緒に入っていた通帳や権利書などから持ち主を割り出し、96%にあたる22億7000万円を既に持ち主に返還済みとのことでした。不安定な被災地にも関わらず、96%という返還率には驚かされました。

 このことが海外でも報道され「日本人のモラルは高い」と賞賛されました。アメリカでは「災害の後は略奪が付きものなのに〜」といったコメントもあったようです。しかしこのような緊急時に日本人のモラルの度合いがグッと上がったのではなく、日頃からの積み重ねの結果ではないかと思います。

 たとえば、日本で外国の方が落し物をします。「どこかに忘れてきたカメラが、一週間後にちゃんと手元に戻ってきた。」「財布を落としても中身がちゃんと入ったまま戻ってきた。」こういったことは海外では考えられないそうです。もちろん100%というわけではないと思いますが、日本でこういった経験をした外国の方は多いようです。「財布の中身が入ったまま戻ってくるなんて、まったくクレイジーな国だ」というコメントを読んだことがあります。

 そう言えば、NHKの「セカイでニホンGO!」という番組では、日本人の「時間を守る」や「財布を交番に届ける」といった習慣や文化が、今、サウジアラビアで話題となっていると放送されていました。こういった番組を通じて、私たち日本人の良い部分の再確認ができればと思います。

 最後に話題をぎゅっと身近に絞り込んで、高知県の話です。日本人のモラルの高さを示すものが、ここ高知にもあります。それは「良心市」の存在です。

 言わずと知れた完全無人店舗。商品の代金を料金箱に入れて、お客さんは品物を持って帰る。この良心市、実は高知が発祥の地だとか。他県に比べてその数も断然多いようです。考えてみれば、これほど相手を信用している売り方は他にはないですよね。

 
近年、お金を入れずに商品だけを取って行く心ない人がいるために、良心市の数はだんだん減ってきています。
モラルの指標とも言える良心市をこれからも大事にしていきたいものですね。


 

 
 
 
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