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第477回●2012年2月12日(日)

 「丁寧なつもり」の応対 

 先日、ある病院で接遇調査を行いました。
丸一日かけて部署をまわってチェックを行いましたが、改めて印象的だったのが非言語表現の重要性でした。

 非言語表現(非言語コミュニケーション)とは、言葉以外の方法を使ったコミュニケーションのことです。姿勢、表情、視線、ジェスチャーなど視覚的要素と声のトーン、声質、話すスピードなどの聴覚的要素があります。

 私はしばしば研修で「言葉と表情」のロールプレイングを行います。その2つが正反対のメッセージを持つ時、人はどちらを優先するのか?というものです。その後挙手をしてもらうのですが、99%以上の人が言葉よりも表情の重要性を実感します。

 たとえば、病院でのシーンを考えてみましょう。たくさんの患者さまがお待ちの中、やっとあなたの順番が来ました。看護師さんが呼びます。「お待たせしました、筒井さん、どうぞ。」この言葉を

@下を見て書類で確認しながら言う
A笑顔で目を合わせて言う

 当然、印象はまったく違ったものになります。でも忙しいと、ついつい下を見て言ってしまうわけです。
しかも話すスピードや、せかせかと歩く様子がこれに追い打ちをかけます。早口でこう言われると患者さまは(忙しいのよ、早く入ってください!)というプレッシャーをかけられたように感じるのです。

 言葉で「お待たせしました」と言っていると、(私はちゃんとあいさつをしている)と思いがちです。でも実際はこうした非言語的要素が相まって、丁寧とは正反対の流れ作業のような印象を与えてしまいかねません。

「要するに、マニュアルで言っているのね」と。
だって心がこもっていないんですから。
忙しい現場では、こうしたことが起こってしまいがちです。


でも患者さまにとっては、その1回が重要なのです。「大切にされなかった」と感じた患者さまは、次もその病院を選ぶでしょうか?

だから「基本の笑顔」が重要なのです。

 しかもこの時期は、マスクを着用して目しか見えていないことも多いと思います。目しか見えない状態で笑顔を伝えるのは難しい。目で笑うことを意識しないと、無表情にしか見えません。

 交流分析で、ストロークという言葉があります。ストロークというのは、「その人の存在を認めること」「ふれあい」などと言います。例えば笑顔で「いらっしゃいませ」と言うのは相手を認めて快いストロークを送ることなので、プラスのストロークを送る、などと言うのです。

 医療現場こそ、このプラスのストロークが重要です。患者さまは心も体も傷ついているのですから。
では、患者さまにどのようなストロークを送っているのか?
「丁寧なつもり」の応対をしていないか?
これは、どこの現場にも通用するお話かと思います。

 今一度、振り返って頂ければ幸いです。

 
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