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第479回●2012年2月26日(日)

 「リラクゼーションセミナー」 

 

(中村 覚)

 昨年から、ある介護施設でリラクゼーションセミナーという、通常とは少し内容が異なるセミナーを行っています。

 介護施設では人間関係や仕事の行き詰まりで、数年間でスタッフが新しく入れ替わってしまうことも珍しくありません。そのため仕事の質の低下を招き、また一からのスタッフ教育となってしまいます。



 昨年これらを防ぐために、職場での人間関係の円滑化とストレス解消のセミナーを何か行えないかというご相談を頂きました。そこで、それらを楽しく学びつつ仕事に活かせるチームワークの育成を目的に、リラクゼーションセミナーを企画・開催しました。
 1回目はコミュニケーションを主体に、2回目はチームワークをより深めることを目的として、各90分のセミナーを少人数の交代制で行います。

 ペアワークやグループワークで、いくつかの課題に沿って作業やゲームをしていただきます。課題によっては無言で行ってもらいますので、本来であれば素早く簡単にできてしまう事でもちょっとした工夫が必要になったりします。

 道具を使ったゲームもあります。チーム戦で勝敗を決めますが、もちろん順位を付けるのが目的ではありません。しかし、適度な競争は遊び心をくすぐりますので良い刺激にもなります。
 お菓子やコーヒーなどで休憩を取った後、最後は日頃現場ではなかなか話せないお互いの感情を、楽しい雰囲気の中で披露してもらいます。セミナーの最初では硬い表情だったみなさんが、途中からは打ち解けた笑顔の連続になり、最後には「楽しかった!」「あっという間だった」と心からリラックスした様子だったのが印象的でした。

 今回のセミナーの後、受講してくださった方々のご感想を伺うことができました。

「職場で色々な研修を受けている中、『今回のリラクゼーションセミナーというのは、一体何をやるのか?』『リラクゼーションというのだから肩を揉んだり、アロマなどでリラックスするセミナーなのか?』と思っていました」と、セミナーに対する当初のイメージからお話してくれました。

 意外だったのは、「同じチームだった○○さんの普段と違った一面が、今日は見られた」や「こんな□□さんの楽しそうな姿は、今までお酒の席でしか見たことがなかった」など、お聞きして初めてわかったみなさんの一面です。

 私はみなさんの日頃を知らないので、セミナー中にリーダーシップを発揮してチームを引っ張る方を見た時、「ああ、日頃からこういった事が得意な方なんだな」と思い込んでいました。

 ところが実はそうではなかったわけです。「リーダーシップを取り、あんなにも喋る人だったとは〜」と同僚の方が驚いているわけですから、それだけリラックスしてもらえたのかと嬉しくなりました。「こういった研修ならまた受けたい」と笑顔でおっしゃったのが、とても印象的でした。


 普通、セミナーや研修というと、ついつい眉間に皺を寄せながら難しい話を聞くといったイメージが少なからずあると思います。しかし、対お客様や職場内での人間関係などから長期的にストレスを抱え込んでしまったスタッフに対して、「常にお客様を第一に考え、自分よりも相手のことを優先するように」というのは、どこかで亀裂が生じると思います。

 ストレス自体が悪いわけではないですが、許容範囲を超えてしまったストレスを長期的に抱え込むことが、チーム力や個々の創造的な行動に繋がるとは思えません。相手に対する気遣いや心配りというのは、自分にゆとりや自信があってこそ、初めてできることではないでしょうか。
 目に見えないストレスを何気ない内に発散できれば良いのですが、そうでない場合にはこうしたセミナーも何かお役に立てるかもしれません。
 研修がきっかけになり、現場でより楽しく・親しくコミュニケーションをとれる雰囲気につながればと願っています。

 
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