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第532回●2013年3月8日(金)

紙オムツのご縁」 

人生には時として、思いがけないことが起こります。
今日もそうでした。

 昼下がり、私は近くのドラッグストアに買い物に出かけました。
セール期間だったので、洗剤や整髪料などの日用品を沢山買うつもりでした。
中でもかさばるのが紙オムツです。
大きすぎて、カートには4〜5個くらいしか乗りません。

 商品で山のようなカートを引っ張って買い物中、声をかけられました。
「すみません。奥さんは近くにお住まいですか?」
そうおっしゃったのは、年の頃は60代くらいでしょうか、明るい印象の女性でした。
私は、「はい、そうです。◯◯町です。」と答えました。

「いやー、山のように紙オムツを買っておいでるので。」と答えられ、
正直、私はなぜ声をかけられたのかわからなくてちょっと戸惑いました。
「実は私ね、主人が脳梗塞で 倒れて、介護をしてたんですよ。もう亡くなりましたけど」
その女性は笑顔でさらっと、そうおっしゃったのです。
私は何と言っていいかわからず、「それは大変でしたね…」と答え、
「私の所は、子供の介護なんです。」とお話ししました。すると、

「実は主人の紙オムツがまだ残っているんですけど、もし良かったらお使いになりませんか?」
思いがけない話の展開になりました。
「え!?…よろしいんですか?」
「こんなに山のように買う人を久しぶりに見かけて。(笑)私もそうやったので、ちょっと懐かしくてね。
もう母も亡くなったので、次に使うのは私ですけど、まだ先だから 」
とても優しい笑顔でした。

サイズも同じということで話はトントン拍子にまとまり、すぐその方のお宅に伺ってオムツを頂くことになりました。
急いで手土産の洋菓子を買って、教えられた道を急ぎます。

玄関を入ると、うずたかく積まれた紙オムツの山があり、びっくり!
お礼を申し上げて、車に積み込んでいきます。
「これでやっと、押し入れが片付きます。なんか捨てるに捨てられなくってねえ…」
「わかります。」
笑顔でやりとりをし手土産をお渡しすると、「じゃあ、お元気でね」 と見送って下さいました。

紙オムツがくれた、一期一会のご縁でした。


頂いたオムツ、パッドはこんなにたくさんありました。
廊下には 、ちょっとした小山ができました。
本当にありがたいことです。

 紙オムツの封が開いたものや、オムツがスーパーの袋にたくさん詰め込まれたままのものもあり、
まるで昨日まで使われていたかのようでした。
 おしり拭きには亡くなったご主人のお名前が書いてあるのを拝見し、
その文字に奥様の思いが込められているようで なんだか胸がジーンとしました。

「そうなんですよねえ、これが介護なんですよね」と、思わずつぶやきました。
紙オムツは いのちと向き合う象徴なのです。
私も長女の介護を26年間、続けています。多分、これからも続くことでしょう。

でもそれは、とてもありがたいことなんですよね。
介護する人が、生きていてくれることの証でもあるわけですから。
使われなくなったオムツが再び役目を取り戻し、うちに来てくれたことに感謝した春の日でした。

 

 

 
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