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第572回●2013年12月8日(日)

 「近代建築を訪ねて〜松山:萬翠荘」 

 近代建築に興味を持ち調べるうちに、松山の貴婦人とも言うべき麗しい洋館を知りました。その名は、萬翠荘(ばんすいそう)。みなさん、ご存じですか?

 愛媛県庁からわずか300mほどの城山のふもとにありますが、今まで存在を聞いたことがなかったので、ネットで見つけた時には驚きでした。

(写真はすべて、クリックすると大きくなります)

 ここは旧松山藩主家の久松定謨(さだこと)伯爵が、大正11年に建てた豪奢な邸宅です。ネオ・ルネッサンスと呼ばれる格調高い様式で、 地上3階・地下1階、面積は268坪(887.58u)の鉄筋コンクリート造り。工費は30万円、今で言うと19億円!
(坪単価に換算すると、なんと700万円です。)

 西洋建築は多くの場合、シンメトリー(左右対称)ですが、萬翠荘は日本建築の美意識である左右非対称に作られました。向かって右側のみに塔屋があります。

 設計は、当時新進気鋭の建築家木子七郎。久松伯爵はフランス生活が長かったことでフランス風の洋館が建てられたようです。皇族方にもお泊まり頂けるような邸宅を、ということも目的の一つでした。


 第二次大戦後は進駐軍に接収され、その後商工会議所、家庭裁判所、県立美術館分館やレストランなどの変遷をたどり、平成23年に90年の歳月を経て、国の重要文化財に指定されました。

 

 エントランスホールには、洋画に出てくるような美しい階段があります。
内装材はすべて輸入した硬いチーク材で、手彫りの彫刻が施されています。
1階にはこの右手に、2つの広間があります。
 こちらは、当時サロンと呼ばれていた謁見の間。
白を基調とし、天井や壁の彫刻には金彩が施されています。今では様々な催しに利用されています。

 部屋にはそれそれベルギー製の大鏡とマントルピース(暖炉の飾り棚)、ガスストーブが設置されていますが、そのデザインも様々に工夫されています。
 こちらは隣の晩餐の間。
焦げ茶を基調とした落ち着いた雰囲気の格調高い部屋です。ここは、以前「レストランばんすい」として、昭和29年から昭和56年まで使われていたそうです。当時に来てみたかったなぁ。
 暖炉の横には、なんと3つの連絡ボタンが!押すと
「使丁、次女、事務」の部屋のベルが鳴るしくみだったようです。大正時代に、もうこんなシステムがあったとは。
2階の迎賓室のソファに座ると、正面に階段のステンドグラスが見えます。ここには昭和天皇もお泊まりになったそうで、肖像画が掛けられていました。
 萬翠荘の3階=屋根裏は、こうなっています。トラス構造と言い、三角形に組んだ鉄骨が支えています。この骨組みは建築当時のものだそうで、貴重ですね。普段は見ることができませんが、前日までに連絡すれば、見学できますよ。
 こちらも貴重なショット。地下の元・調理場です。広さはそこそこあるのですが天井が低く、圧迫感があります。でも、地下なのに明るいでしょう?建て方が工夫されているんですね。
 実は今回最も驚いたのが、こちらの館長さんが私のNHK時代の上司でいらしたことです。

偶然お目にかかった八木健さんは、私がNHK高知局に在籍していた頃、アナウンサーの上司でいらっしゃいました。NHK「俳句王国」の番組がご縁で俳句を始められ、退職なさってからは俳句や川柳の会でご活躍なさり、現在は萬翠荘の館長をなさっているとか。思いがけず数十年ぶりにお会いできて、本当に嬉しかったです。

 
 とにかく、萬翠荘は建物自体が芸術品のようで、見所が満載です!
松山にお越しの際には、ぜひお立ち寄りくださいませ。なお、観覧料は300円です。

 

萬翠荘

 愛媛県松山市一番町3-3-7 電話番号:089-921-3711
 開館時間:9〜18時(イベントにより時間変更あり)
 休館日:月曜日

 
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