いつも思うのですが、日本ではどうして学校教育でスピーチやプレゼンテーション、ディベートといったことをしないのか、残念に思います。「沈黙は金、雄弁は銀」というように日本の文化はあまりしゃべることを良しとしませんでした。語らずとも伝わることが望ましいとされたわけですが、現代では自己主張をきちんとしないと何を考えているのかわかりませんから、コミュニケーションが取れなくなってしまうのです。それによる影響は、誤解などのマイナス要素が多くなることは言うまでもありません。まして、外国の方との交流の場では、これは絶対に必要なことなのです。
さて、「話す」こと。上手に話すには(何事もそうですが)、練習あるのみです。野球選手になりたいと思ったら、野球中継ばかり見ずに練習しなきゃね。スピーチも同じです。具体的にはどうすればいいかというと、
@話す内容を考え、整理する
ただし、原稿用紙にきっちり書いてはダメ。箇条書きで、こういうことを話そうとだいたい決めておけばいいのです。細かく書くと、それに逆に縛られてしまうからです。
A練習する
内容がまとまったら、練習します。例えば結婚式のスピーチを頼まれたとき、原稿を書き終わったとたん、「やれやれ、やっとできた〜」と、もう8割方すんでしまった気になっていませんか?これが間違いです。ここからが練習なのです。実際に、声に出して練習してみると、「この言い回しは言いにくいな」「文章がわかりにくい」「長すぎるか?」など、いろいろと気づくと思います。また、声も大事です。マイクがあっても、ある程度通る声で話した方が、断然印象が良くなります。それには、腹式呼吸です。お腹から声を出すようにしましょう。また、きちんと口を開けないと言葉が不明瞭になりますので、気をつけてくださいね。
B外見も気にする
服装のことではありません(それも大事ですが)。自分自身が話しているときの姿勢・表情など、意外と自分ではわからないもの。ずっとうつむいて話していたのでは、印象に残りません。お勧めのトレーニング法は、最低限上半身程度は映る姿見の前で、自分に向かって話しかけること。「え、自分ではまっすぐのつもりなのに、体が傾いてる!」「こんなに無表情で話してたのか」など、気がつくことがあるかもしれません。こうして、最低2〜30回は練習してみましょう。それくらい練習すると、体が感覚を覚えてくれるようになり、口も回りやすくなるでしょう。また、十分練習することにより自信につながり、緊張の度合いを少なくできます。
Cできれば、リハーサルも
少し早めに会場に着いて、話す場所を確認しておきます。リハーサルできれば言うことはありませんが、あらかじめその場所に立ってみるだけでも、緊張の度合いは違いますよ。うまく話せる自分をイメージトレーニングするのもお勧めです。
Dさあ、本番!
「間違えちゃいけない」とか、あまり自分を追い込まないこと。別に多少間違ったって命に関わるわけじゃなし、ね。
まず、深呼吸して、無理矢理にでも笑顔をニコッと作りましょ。たくさんの人が見ていると思えば、緊張するでしょうが、一人一人を見ていき、好意的に聞いてくれている人だけを見るようにすれば前向きになれます。うなずいたり、笑顔で聞いてくれている人ですね。この役を友人にあらかじめ頼んでおく方法もあります。話し終わったら出来はともあれ、
さわやかに「ありがとうございました」「よろしくお願いいたします」など、笑顔の挨拶で締めましょう。
自分では「失敗した!!」と思っても意外と他人は「そう?緊張してるようには見えなかったよ」なんて平気で言うものです。あなたが気にするほど、他人はあなたを気にしていないもの。これって、要するに自意識ですね。あと、場慣れということもあります。経験を積めば、次第に緊張せず、話すことに馴れてくるものです。
ちなみに私は演劇部出身なので、いつも「講師を演じる」「プレゼンターを演じる」「司会を演じる」つもりでやっています。自分と切り離すことで恥ずかしさがなくなり、堂々と話せる効果があります。「これだけの人が、自分の話を聞いてくれるなんて嬉しいな。ありがたいなあ。ガンバロウ!」とポジティブに考えています。
せっかくのスピーチの機会です。「良かったよ!」と言われ、「話した甲斐があった」となればいいですね。
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