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第634回●2015年3月1日(日)

 「高知家のあいさつ調査」

 この3月2日(月)の高知新聞「所感雑感」欄に、「高知家のあいさつ」という文章を掲載して頂きます。今回のコラムは、その裏話です。

 昨年末に、「高知家の大家族会議」で、ある方がご提案なさいました。
「高知家において人とのつながりは、重要なポイントです。それが端的にわかるように、コミュニケーションの指標が何かできないでしょうか?」

 コミュニケーションの研修をしていながら、コミュニケーションを指標化する、というのは考えたこともない斬新な視点でした。残念ながらその場では何も思いつかなかったのですが、終わってからもずっと考え続けていました。

 そして思いついたのが、「あいさつ」を切り口にするのはどうだろう、ということでした。あいさつはコミュニケーションの第一歩ですし、そこから豊かな人間関係が始まります。
 ただ指標を取るとなると、カウントをするのが大変です。公共の場でのあいさつって、どこを切り取ったらいいのでしょう?

 そう言えば、高知ではバスや電車での「ありがとう」というあいさつが多くて驚いた、と言う県外から来た大学生がいました。じゃあその調査をやってみようと思いつきましたが、多忙に紛れてそのままになっていました。

 年明けに高知新聞のMさんから原稿のご依頼を頂いた時、思い出したのがそのアイデアです。内容をご快諾くださり、それならと短時間でたくさんの乗客に出逢える電車で「乗客のあいさつの実態調査」をしてみました。

 バスはともかく、電車に乗るのなんて20年ぶりくらいでした。
今は電停も整備されて、とても乗りやすくなっています。

 そう言えば、高知県民は私鉄を「電車」、JRを「汽車」と呼び分けますね。「行きは電車で行って、帰りは汽車にした」なんて会話をよくしています。(笑)

 ちなみに、高知の公共交通機関は「とさでん交通」が担っています。昨年2014年、土佐電気鉄道・高知県交通・土佐電ドリームサービスの3社の経営統合が行われ、「とさでん交通」がスタートしました。新会社になり、運転手さんも接遇に力を入れているというニュースを拝見しています。

 あいさつの定義ですが、乗客が降りる際に運転手さんに「会釈した」か「言葉を発した」か、あるいは両方を「あいさつした」としました。

 さて、乗客はどれくらいの割合であいさつしたか、皆さんはどう思われますか?
私を含め、友人などは「3割くらいじゃない?」と予想していました。

 

 調査した乗客は、118人。その8割以上が女性でした。やはり、高齢の方が非常に多かったです。
その中で、あいさつをした人は52人、44%でした。あいさつ指数は44%ということです。

 この結果を多いと見るか少ないとみるかは人それぞれだと思います。「え、半数近くがあいさつしてるの?」とか、「うん、私もよく乗るからそれくらいやと思いよった」とか「昔はもっとよけしよったにねぇ」とか。 (笑)

 中でも、言葉で「ありがとう」とか「ありがとうございました」と発した人は27人、割合は全体の23%でした。
少ないようにも思いますが、4人に1人は、言葉でお礼を言っているのです。

 意外にあいさつが少なかったのは、高齢の女性でした。イメージでは一番あいさつする世代だと思っていたのですが。ひょっとすると、料金を払ってすぐに高いステップを降りなきゃいけないという緊張感があるのかもしれません。

 運転手さんの態度とあいさつ指数はリンクするのでしょうか?
どの電車でも、だいたいあいさつ指数は同じくらいでしたが、 途中から急に指数が高くなった車両がありました。走り寄る乗客を見つけて、運転手さんが一度は閉じたドアを再び開けたのです。その人は何度も運転手さんに「ありがとうございます」と言っていました。車内の雰囲気がほわっと和み、次の電停で降りていった乗客3人は全員「ありがとうございました」と言って降りたのです。

 観察していると、ドアを再度開けることはたまにあったのです。運転手さんは信号待ちの乗客かもしれない人の動きを実によく観察しており、ドアを臨機応変にサッと開けていました。

 言葉遣いも以前より非常に良くなっていて、「通過いたします」「かしこまりました」などの敬語をしっかり使っていました。マスクをして笑顔が今ひとつ出てなかった運転手さんには「もうちょっと笑顔出したらいいね♪」と言うと、ニコッとしてくれましたよ。(笑)

 出張で大阪や東京に行った時、運転手さんが「ありがとうございます」と言い、乗客はみな黙々と降りていく…といった光景をよく見ます。かたや、高知であいさつ指数が44%というのは、誇れる数字ではないかと思います。

 高知では昔から交通網が脆弱でしたから、「乗せてくれてありがとう」という気持ちが強く、その思いが今も受け継がれているのではないでしょうか。


 心地良い振動と、ぽかぽかの陽ざし。人々のお礼の言葉。
久々の電車は癒やしの空間のようで、想像以上に居心地良いものでした。

 できれば会釈を言葉がけに、そして笑顔をプラスするなど、高知家のあいさつレベルをもっと高めていければいいなあと思います。実はこれも、高知家の密かな宝なのではないでしょうか。

 
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