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第374回●2010年2月7日(日)

 「日本でいちばん大切にしたい会社」

 昨年、私が読んだ本の中でベスト1だったのは間違いなく坂本光司さんの「日本でいちばん大切にしたい会社」でした。中小企業を6千社も訪問した法政大学の教授が、中でも特に素晴らしい5社を紹介しています。経営者にとっては「会社は何のためにあるべきか?」という、最も基本の理念の再確認になる本でした。

 目次から各社を取り上げてみます。
1.「日本理化学工業」― 障害者の方々がほめられ、役立ち、必要とされる場を作りたい
2.「伊那食品工業(株)」―「
社員のための経営」、「戦わない経営」を貫き、48年間増収増益
3.「中村ブレイス(株)」― 「人を支える」会社には日本中から社員が集まり、世界中からお客様が訪ねてくる
4.「(株)柳月」 ― 地域に生き、人と人、心と心を結ぶ経営を貫いていく
5. 「杉山フルーツ」― 「あなたのお客で本当によかった」と言われる光り輝く果物店

 この中の日本理化学工業は、鳩山首相が初めての所信表明演説で取り上げたことでも有名です。この企業はチョークの製造メーカーですが、50年前から障害者の雇用を行い、現在では障害者雇用率が70%を超えています。この会社が最初に障害者雇用をした時の話を読み、私も思わず胸を熱くした一人です。

 昭和34年。日本理化学工業の社長に、養護学校の先生が中学卒業を控えた15歳の女子生徒の就職を頼みにきた。社長は初め「無理です」と断ったが、先生は何度も何度もお願いに来る。「就職が無理なら、せめて働く体験だけでもさせてくれませんか?そうでないとこの子達は働く喜び、働く幸せを知らないまま死ぬまで福祉施設で暮らすことになってしまいます。」―これにはついに社長も、承諾せざるを得なかった。

 こうして、1週間の就業体験をすることになった。(今で言うインターンシップである。)
1週間だけの研修として2人の少女を受け入れたのだが、休み時間も気づかないほど一生懸命働く2人の姿に10数人の社員全員が心を打たれ、「どうかあの子達を採用してあげてください。できないことは私達がカバーしますから」と社長に詰め寄った。こうして、障害者の採用が始まった。

 しかし、社長は疑問だった。彼女たちにとっては会社で毎日あくせく働くよりも、施設でゆっくりのんびり暮らした方が、幸せなのではないか?なかなか言うことを聞いてくれない時「施設に帰すよ」と言うと、泣いて嫌がる障害者の気持ちが初めはわからなかった。
そこで、ある席で禅寺のお坊さんにこのことを尋ねると、こう答えた。

「それは当たり前でしょう。人間の幸せとは
@人に愛されること 
A人に褒められること
B人の役に立つこと 
C人に必要とされること です。

このABCは施設では得られないでしょう。この3つの幸せは働くことによって得られるのです。施設や自宅でのんびり楽しく、テレビだけ見るのが幸せではないんです。真の幸せは働くことなんです。」

社長は、目からウロコが落ちた。必要とされて働き、それによって自分で稼いで自立することが幸せなのだと。

 私も、本当にそうだと思いました。重度障害を持つ長女は働くことはかないませんが、自立できることは素晴らしいことです。その力を大切にしたいし、して欲しいと思います。
今の若い人たちにも、ぜひこの話を聞いて欲しい。来週私は、ある定時制高校に講演に行きますが、とっておきのこの話を披露したいと思っています。

 さて先週、その本のパート2が出たと知り、早速書店へ足を運びました。
今度は亀田総合病院(千葉県)、沖縄教育出版など8社が紹介されていましたが、驚いたことにその中に、高知の企業「ネッツトヨタ南国」も入っていたのです。

 そう言えば以前、横田会長が「坂本さんがうちの会社に来てくださってねぇ…」と、お話をなさっていたことを思い出しました。この本の取材のためだったんですね。 ネッツ南国の目次はこうです。

ネッツトヨタ南国」― 全盲の方と行く四国巡礼の旅で、人の本当のやさしさを学んでもらう

 そう、ほとんど知られていませんがネッツ南国では、新入社員オリエンテーションの最後に「バリアフリーお遍路の旅」として全国の視覚障害者の方とペアを組み、4泊5日で四国霊場88箇所を案内して回るのです。
  最初は戸惑いながらもお世話をするうちに、バリアフリーの本当の意味を理解できるようになり、真心で人と向き合い、生きていく姿勢を身につけていくのです。ネッツ南国が学生やお客様から高い人気を誇るのは、こういうところなんでしょうねぇ。

 ぜひ皆さまも、書店で見かけたら この本を手に取ってみてください。

 
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