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ウィークリーN
第94回●2004年8月29日(日)

「夏の夜の朗読会」


朗読会
 
 昨夜は大川筋にある武家屋敷で、NPO法人「たびびと」(朗読ボランティア)恒例の朗読会があった。
今年でもう5年目になる。文化財を活用しよう、ということで毎年夏、武家屋敷で「さむらいのこわい話」 をするものだ。

 私はここ2年ばかり、夏のこの時期は仕事で忙殺されており練習の時間もとれないから、迷惑をかけてはいけないと出演はしていない。しかし、実は学生時代12年間演劇をやっていたこともあり、こういうのは大好き!なのだ。

 公演の日の心が沸き立つような独特の高揚感・緊張感は、いいものだ。直前練習に、演出指導の声が飛ぶ。私たちのグループには劇作家がいるので、作品はすべてオリジナルストーリーという贅沢さだ。土佐に古くから伝わる民話や史記などを元にして、土地ならではの怪談を作り上げ、語る。幽霊、怨霊、切腹などのシーンもふんだんに盛り込まれ、大人が聞いても恐い話が多いが、夏休み最後の週に行うため、親子連れの姿が多い。

 視覚障害者のための朗読ボランティアから端を発している我がNPOでは、視覚障害者のためのプログラムを必ず入れる。視覚障害者疑似体験だったり、盲導犬についてだったり、音訳についてだったり。今年は、点字について、専門ボランティアさんたちの「超入門点字教室」が冒頭で行われ、自分の名前を点字で打ってもらえるおまけ付きだった。

 武家屋敷の雰囲気を壊さないため、灯りは行燈(あんどん)などが中心だ。ただし本が読めるよう、補助としてスポットライトも使うが、すっかり忘れていた夜の暗さが蘇る。今年は初めての試みとして、お琴の演奏も取り入れた。屋敷の雰囲気と合っていて、実にいい感じだ。

 朗読者は、全員浴衣を着ている。行燈のほのかな灯りに照らされたその唇から恐ろしい怪談が語られると、空気がピンと張ったようになり、およそ60人ほどの観客は静かに聞き入っている。…ああ、やっぱりいいなあ。この公演中の独特の雰囲気。来年はやっぱりやりたいなあ。
ますます時間がなくなって、自分の首を絞めることになるけれど…
(これこそ怪談!?)

 

   
 
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