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ウィークリーN

第209回●2006年11月20日(月 )

 「親の仕事、子供の仕事、教師の仕事」


 11月の雨の日曜日、私は片道3時間半かけて、土佐清水市の下ノ加江小学校へと車を走らせました。海のすぐ近くのこの小学校で、障害児を育てた経験をお話ししてもらえませんか、とのご依頼があったからです。

 「生まれてきてくれて、ありがとう」というタイトルでの講演には、小学1年生からおじいちゃん・おばあちゃんまで、100名を超す方々が集まってくださいました。
  実はこの小さな小学校には、4つの障害児学級があるそうなのです。学校では毎年、人権に関する勉強会を先生・生徒・保護者・地域の方を交え、こうして行っていると伺い、それはぜひ行ってみたい!と思いました。

 「もし神様が何でも願いをかなえてくれるとしたら、みんなは何をお願いする?」という質問にはあちこちで手が上がり、「ケーキが欲しい」「ゲーム」、あるいは「いつまでも生きていたい」など、元気な微笑ましい答えに、会場は笑いと和やかなムードに包まれました。

 熱心に子供たちが聴いてくれている最中、軽い地震が起きました。さすがにこれにはびっくり。幸いすぐ収まり、「みんな、大丈夫?」という問いかけにも大丈夫そうだったので、話を再開しました。

 …親の仕事とは何でしょうか?私は神様から預かった子供を育て、社会に返すことではないかと思います。神様が「あなたなら大丈夫」と信頼してその子を預けてくださっているのだと思うからです。

 「じゃあ子供の仕事は何だと思う?」という問いかけには、「勉強」「遊ぶこと」…子供たちが一生懸命答えてくれます。かわいいなあ。「子供の仕事はね、幸せになることだよ。そのために勉強したり、遊んだりするんじゃない?」という問いかけに、子供たちはうなずいて聴いてくれていました。

 「じゃあ、幸せになるための、魔法の言葉を教えてあげるね。『うれしい』『楽しい』『幸せ』それから『ありがとう』。こういう言葉は周りも幸せにするから、いっぱい使おう!」…これは最近私が好きな、小林正観(せいかん)さんのお言葉を、そのまま借りてきたものです。

 こうして、講演を無事終えることができました。最後に体育館を出るとき、「バイバーイ!」と身を乗り出して見送ってくれた子供たち。 ちょっと小学生には難しい部分もあるのでは、と心配していましたが、事後学習もするので大丈夫です、という先生の言葉に勇気づけられて、初めての小学生も対象の講演会を終えました。

 後で先生にお話を伺うと、下ノ加江は海に近くゼロメートル地帯なので、地震の際には津波に気をつけなければいけないのだそうです。講演中も地震の後、さっと先生がテレビでの地震情報を見に行き、津波のおそれはないと確認したと伺いました。津波のおそれがあるときには、その大きさによって校舎何階に避難とか、それ以上の時には裏山に逃げる、と決められており、避難訓練もしているのだとか。さすがだと思いました。

 教師の仕事は、生徒たちを守ること。そして、生徒たちを優しく見守り、導くこと。今回の下ノ加江小学校の先生方はこの講演会の事前学習として、夏休みに私のコラム(障害児育児コラム「足跡」全32回)をお読みくださったようです。一事が万事、先生方が子供を守ろうとする姿勢はまさに教師のプロ。今の混迷する日本の教育現場の中では、暖かな光のように思えたことでした。

 

 

 

 
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