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引き続き岩手県宮古市の榎本より、ご報告です。
昨日の6月3日、宮古市立鍬ケ崎(くわがさき)小学校を訪問し、ミニタイガープロジェクト・贈呈第三弾を済ませて参りましたのでご報告いたします。 |
鍬ケ崎地区は、古くから宮古の海の玄関口として栄えて来た町。名勝浄土ヶ浜への通り道でもあり、
学校から徒歩10分程の所には、三陸でも有数の水揚げを誇って来た宮古魚市場があります。
しかし今回の大津波で、この地区も壊滅的な被害を受けました。
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午後3時過ぎに学校を訪れると、一週間後に開催される運動会の練習の真っ最中でした。踊りの練習に続いて、応援練習。フレーフレーと子供達の元気な声が校庭に響いています。
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一見、ごく普通の学校生活に見えますが、
学校の体育館は避難所になっていて、今も55名程の地域住民の方々が生活しているそうです。校舎の脇には、自衛隊が避難者のために設営したお風呂があります。
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そして校庭のすぐ目の前には、こんな景色が広がっています。
この中を子供達は通学しているのです。 |
3月11日の大地震直後、上の写真の右手にある高台の神社に全校生徒が避難し無事でしたが、津波は家々をなぎ倒しながら校庭の前まで押し寄せました。もし地震があと10分遅ければ、下校の時間に差しかかっていたかもしれなかったけれど、幸いにもまだ全員が学校にいて、一緒に避難することが出来たそうです。
しかし沢山の子どもたちが家や家族を失いました。また職を失った親御さんも少なくないようです。
がれきの中に残された一軒の被災家屋の白壁に「おいらの家、長い間ありがとう、さよなら」と大きく書かれていたのを見て胸が痛みました。
ふるさとの風景はすっかり変わり果て、防波堤の決壊や地盤沈下による冠水の不安も隣り合わせのこの地区。被災した場所の他に平らな土地が殆どなく、学校の校庭にも間もなく仮設住宅が建設される予定です。また学校のすぐ裏手にある公園にも既に仮設住宅の建設が進んでいて、子供達が伸び伸びと活動出来る場所がなかなか確保出来ない現状です。
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そのような中でも、かろうじて被災を免れたプールでの授業が間もなく始まるのを、子ども達は楽しみにしているようです。そこで、プール用のバッグとバスタオルがあれば・・・とのリクエストにミニタイガープロジェクトがお応えすることにいたしました。 |
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全部で220名分が必要です。男女別、低学年用、高学年用と、色・柄・サイズを取り混ぜて準備いたしましたが、残念ながらいくつかの店舗を回ってかき集めても、バッグとバスタオル両方を人数分揃えるのは無理でした。それでもバッグ128枚、バスタオル92枚を調達出来ましたので、生徒達には、どちらか一方を受け取ってもらうことになります。
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ちなみに、これらを購入した地元各店も、津波被害によって一度は休業を余儀なくされながらも、ようやく再開にこぎつけ頑張っているところばかり。
ボールペンやファイルを購入した文具店の「リラパークこなり」は20センチの床上浸水で、しばらくは泥水を掻き出して掃除をするのに大変だったようです。そしてバッグとバスタオルを買った「たかこう」と「スポーツオールス」は1.5メートルまで水が上がり、それまでの商品のほとんどがダメになったそうです。
他のお店も、顧客や取引先が被災して減ってしまうなどの打撃を受けていますが、そんな中での少しまとまった数の購入ですから、どのお店にとっても喜んで頂けたかと思います。
お店の方の中には、この学校の出身という方もいて、協力的に商品を揃えてくれました。ミニタイガープロジェクトの皆様には、被災地の経済復興にも応援していただき本当にありがとうございます。
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さて、子供達は運動会の練習中ということで、中村副校長先生(写真)と、井口先生がプレゼントを受け取ってくださいました。 |
「既に水着や帽子は他の団体からご寄付いただいていたのですが、バッグとバスタオルが揃ったことで、生徒や親御さん達に負担をかけることなくプール開きの準備をすることが出来ます。本当に助かります、ありがとうございます。皆様によろしくお伝えください」とおっしゃっていました。
まだまだ不便の続く学校生活だと思いますが、プールで伸び伸びと活動することで、子ども達が元気にこの夏を乗り越えてくれるよう願ってやみません。
校庭に仮設住宅の建設が始まる前に、と開催の決まった11日の運動会は、地域の方々も参加出来る競技が予定されているとのこと。避難所の方々もきっと、子ども達の元気な姿に励まされることでしょう。笑顔いっぱいの運動会になりますように。一市民の私も是非、応援に行きたいと思っています。
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